とほほのAI入門 (AIの歴史)

目次

黎明期

1943年
心理学者のウォルター・ピッツが人間の神経細胞の動きをコンピューターで再現する ニューラルネットワーク のアイデアを提唱しました。
1950年
アラン・チューリングが、相手が人間か AI かを見破られるか否かで合否を判定する チューリングテスト を提唱しました。
1956年7月~8月
ジョン・マッカーシー氏を中心として開催された人工知能に関するダートマス会議で、初めて AI という用語が使用されました。
1958年
心理学者・計算機科学者のフランク・ローゼンブラット氏がニューラルネットワークを実装化した パーセプトロン を発表しました。

第一次AIブーム

1960~1970年代を「第一次AIブーム」と呼びます。探索と推論。プログラムによるデータの探索を主としていました。

1965年
未知の有機化学物質を分析・特定する Dendral が登場しました。
1966年
コンピュータが人間の様に応答する対話型自然言語処理プログラム ELIZA が登場しました。
1972年
感染症を診断し、適切な抗生物質を推奨する Mycin が開発されました。

第二次AIブーム

1980~1990年代を「第二次AIブーム」と呼びます。第二次AIブーム。知識表現。人が知識をコンピューターが理解できる形式にして教え込む エキスパートシステム が登場してきました。また、ニューラルネットワーク の実用化の研究が進んできました。

1982年
日本でも通商産業省により人工知能コンピューターの開発に向けた 第五世代コンピュータ プロジェクトが推進されました。
1984年
人の知識を巨大なデータベースに蓄積して推論する Cycプロジェクト が始まりました。
1986年
米国の認知心理学者 David E. Rumelhart らが RNN (Recurrent Neural Network) を発表し、時系列データの出力を次の入力にフィードバックすることで過去の情報を保持しながら解析ができるようになりました。
1997年
ドイツのコンピューター学者 Sepp Hochreiter と Jürgen Schmidhuber が LSTM (Long Short-Term Memory) を提唱しました。RNN が長期の依存関係を保持しにくいという欠点を、記憶セルとゲート構造により、重要でない情報は忘れるけど、重要な情報は保持できるように改善されました。
1997年5月11日
IBM のスーパーコンピューター ディープブルー が当時のチェスの世界チャンピオンに勝利しました。
1997年8月
NEC北米研究所の ロジステロ が当時のオセロ世界チャンピオンに勝利しました。

第三次AIブーム

2010年代以降を「第三次AIブーム」と呼びます。機械学習ディープラーニング などコンピューターが自ら学習するようになり実用化が進みました。

2013年
Google の研究者 Tomáš Mikolov らが Word2vec (Word to vector) を提唱・開発しました。単語埋め込み(Word embedding) と呼ばれる技法で単語をベクトルに変換することで、king – male + female = queen といった意味ベースのベクトル演算が可能となり自然言語処理の精度を向上させました。
2014年10月6日
スタンフォード大学の Jeffrey Pennington、Richard Socher、Christopher Manning が GloVe (Global Vectors) を発表しました。単語の共起統計(2つの単語がどのくらい一緒に登場するか)を活用し、グローバルな意味関係を捉えることができるのが特徴です。
2017年5月20日
山本一成氏が開発した将棋ソフト PONANZA が日本のプロ棋士との「第2期 電王戦」で勝利しました。
2017年5月23日
Google DeepMind の囲碁AIソフト AlphaGo が当時の囲碁世界チャンピオンに勝利しました。
2017年6月12日
Google の研究者がディープラーニングアーキテクチャ Transformer に関する論文を投稿しました。RNN/LSTM が前方から後方にむかって逐次処理しかできなかったのに対し、Attention 機構により単語間の関連性に重みづけをしながらすべての単語を並列処理することができるようになったのが大きな特徴です。GPT、Claude、Gemini など多くのモデルの基礎となりました。
2018年3月22日
ポール・アレンが設立した米国の研究機関 Allen Institute for AI(AI2) が ELMo (Embeddings from Language Models) を発表しました。RNN/LSTM の延長ですが、それまでの技術がひとつの単語にひとつの意味しか割り当てられなかったのに対し、双方向LSTMによって文脈に応じて単語の意味を動的に変化させることが可能となったのが特徴です。
2018年6月11日
OpenAI 社が Transformer をベースに GPT (Generative Pre-trained Transformer) を発表しました。事前学習(Pre-training)とファインチューニング(Fine-tuning)を組み合わせる汎用的な学習パラダイムを確立し、GPT-2、GPT-3、ChatGPT へと進化する基盤となりました。
2018年10月11日
Google が双方向 Transformer を採用した BERT (Bidirectional Encoder Representations from Transformers) を発表しました。文章の一部の単語(例えばランダムに15%など)をマスクしたものを学習データとして AI に推測させるマスク言語モデルの導入により文理解の精度が飛躍的に向上しました。
2022年11月30日
OpenAI 社が RLHF(人間によるフィードバックからの強化学習)を適用したことで、人間との対話能力が劇的に向上した ChatGPT を発表して世界に衝撃を与え、第三次AIブームの起爆剤となりました。
2022年12月1日
Microsoft が OpenAI 社の GPT シリーズをベースとした Copilot を発表しました。発表当初の名称は Bing Chat でしたが 2023年11月15日に Microsoft Copilot に変更されました。
2023年3月14日
OpenAI の副社長を務めていた Daniela Amodei、Dario Amodei 兄妹らが設立した Anthropic 社が独自の言語モデル Claude を発表しました。
2023年12月6日
Google DeepMind 社が独自の言語モデル Gemini を発表しました。