とほほのAI入門 (AI関連用語)
目次
基本用語
AI
- Artificial Intelligence(人工知能) の略です。
- コンピューターが人間の様に学習・認識・識別・推論・意思決定を行う技術の総称です。
- 下記などのレベルがあります。
- ANI(Artificial Narrow Intelligence) : 特化型AI。翻訳や画像認識など特定用途で利用。
- AGI(Artificial General Intelligence) : 汎用AI。人間レベルの知能を持ち幅広い課題に柔軟に対応するレベル。
- ASI(Artificial Super Intelligence) : 超知能AI。人間を超越する知能を持つAI。AI の未来像。
機械学習
- 人がパターンやルールを設定するのではなく、コンピュータ自身が膨大なデータセットからパターンを抽出し自己学習する技術の総称です。
ディープラーニング
- 深層学習(Deep Learning)と訳します。
- 機械学習のひとつで、コンピューターが多階層のニューラルネットワークを用いて、テキスト・画像・動画・音声などのデータの特徴を抽出し処理する技術の総称です。
生成AI
- 英語では Generative AI と呼びます。
- テキスト、画像、動画、音声などを生成する能力を備えた AI を指します。
AIエージェント
- 人が設定した「目的達成」のために AI を用いて最適な手段を「自律的に」選択してタスクを「遂行する」ソフトウェアと表現されることが多いようです。
- カスタマーセンターの自動応答や、Amazon Alexa や Google Assistant なども AIエージェントと呼ばれることがあります。
- Dify や Agentforce など、AIエージェントの構築・運用を行うプラットフォームもあります。
バイブコーディング
- 英語の vibe は「雰囲気・気持ち・ノリ」などを意味します。音楽の即興演奏などでも「バイブス上がるぜ」などと使用されていました。
- プログラマが AI と対話しながら即興で AI にコーディングさせるスタイルを意味します。
- YouTube を見てもプログラマ(死語になる?)が、ラップの様にノリノリで AI コーデイングを楽しんでいる動画が多くあげられています。
モデルと入出力
モデル
- AI の核となるエンジン部分です。
- ニューラルネットワークを用いて膨大なデータを学習し、入力に対して認識・推論を行い出力を生成するアルゴリズムの集合体です。
プロンプト
- AI に与える命令・インプットをプロンプトと呼びます。
- 「お客様への回答には、語尾にはできるだけ『にゃん』をつけて回答してください」など、サービス提供側があらかじめ設定しておく命令をシステムプロンプト、ユーザーが入力する質問や命令をユーザープロンプトと呼びます。
トークン
- テキストを AI が処理可能な単位(単語など)に分割したものをトークンと呼びます。
- トークン数によって課金するものもあります。
マルチモーダル
- ひとつの AI で、テキスト・画像・動画・音声など複数の形式のデータを扱うことができるモデルをいいます。
MCP
- Model Context Protocol の略です。
- AI が他システムや他AI を呼び出すことができるインタフェースを定めた JSON-RPC ベースのプロトコルです。
- 2024年11月に Claude の開発元 Anthropic が発表して、瞬く間に広まりました。
- 例えば AI が Gmail MCP を呼び出すことにより、自律的にメール送信できるようになります。
- 例えば AI が GitHub MCP を呼び出すことにより、自律的にプルリクできるようになります。
- 例えば AI が Playwright MCP を呼び出すことにより、自律的にテストコードを生成・実行できるようになります。
アーキテクチャ
パラメータ数
- モデルの複雑さを示す指標です。
- 最近では何億~何兆ものパラメータを扱うモデルが登場しています。
- 「Llama 3.1 70B」 (70B = 70 billion = 700億) など単位 B で表すこともあります。
- GPT-4 で 1.76兆(推測)、GPT-5 も非公開ですが50兆程度ではないかと推測されています。
LLM
- 大規模言語モデル(large language model)の略です。
- SLM に比べて大量のパラメータ数(数百億~数兆~)で稼働する言語モデルです。
SLM
- 小規模言語モデル(small language model) の略です。
- LLM に比べて少ないパラメータ数(数億~数十億)で稼働する言語モデルです。
- LLM ほど高性能ではないけど、CPU・メモリリソースが少ないこと、ファインチューニングしやすいなどのメリットがあります。
- Microsoft が開発した Phi-3 (38億パラメータ) などが SLM に分類されています。
GPU
- 画像処理装置(Graphics Processing Unit)の略です。
- CPU(中央演算装置)の補助的な機能として主にゲーム画面描画などの並列画像処理を行う目的で開発されました。
- 現在では、画像処理だけではなく AI 処理全般に利用されています。
- AI ブーム到来により、GPU に強い米国 NVIDIA(エヌビディア)は 2025年6月には世界時価総額ランキング1位となりました。
学習方法・測定方法
教師あり学習
- 答えのあるデータを与えて学習させる方法です。
- リンゴの写真を見せて「これはリンゴだ」と教え込むなど、人がデータとその答えを与えて学習させます。
- 画像認識などで利用されます。
教師なし学習
- 答えのないデータを与えて学習させる方法です。
- 異常検知、自然言語処理、画像生成などで利用されます。
ファインチューニング
- 一通りの機械学習を終えた AI に対して目的に合わせて追加学習させる手法です。
- 世の中の一般的なデータを学習させた後、最新情報、専門情報、社内情報などを追加学習させたりします。
転移学習
- 一通りの機械学習を終えた AI を別の関連タスクに応用することを意味します。
- 英語から日本語への翻訳を学習した AI を、ドイツ語から日本語への翻訳に応用したりなどの例があります。
RAG
- 検索拡張生成(Retrieval Augmented Generation)の略です。
- AI が推論を始める前に追加情報を読み込ませる機能です。
- 例えば、一般的な学習に加えて社内規約などのデータを RAG に投入することで、社内規約に特化した回答が可能となります。
- ファインチューニングと似ていますが、ファインチューニングは AI の学習(基本モデル)そのものを強化するのに対して、RAG は基本モデルは変更せず、推論時に追加情報を読み込みます。
- 事前学習(教師あり/なし) → ファインチューニング(モデルに学習させる) → RAG(モデルに付加情報を与える) という流れになります。
- RAG データを変更することにより、基本モデルを様々な用途に転用することができます。
AIの課題と未来
AI倫理ガイドライン・法律
- AI の設計・開発・利用に求められる、倫理的ガイドラインや法律を指します。
- 基本的人権の尊重 / 堅牢性・安全性 / セキュリティ・プライバシー / 著作権の尊重 / ガバナンス / 説明責任 / 透明性 / 多様性・非差別・公平性 / 教育・リテラシーなどを含みます。
- OECD(経済協力開発機構)では 2019年に「AI原則」を採択しました。
- EU でも 2024年8月に「AI規制法」を発行しました。社会的信用度のスコアリングの禁止など幾つかの禁止項目も定められています。
- 日本経済産業省も 2024年4月に「AI事業者ガイドライン」を策定しました。
ハルシネーション
- 英語の hallucination は幻覚、妄想の意味を持ちます。
- AI が誤った情報や誤解を招く情報をもっともらしく提示してしまうことを指します。
- 人間であれば自信のない回答には「~だと思う」などと表現しますが、AI は自信がなくても(そもそも自信が無いという概念が無い)「~です」と言い切ってしまいます。
- 情報源が少なかったり、異なるリソースを無理矢理結合した回答を行う場合には「~だと思いますが、ちょっと自信ありません。」と回答する AI があってもよいと思っています。
AGI
- 汎用人工知能(Artificial General Intelligence)の略です。
- 人間と同等の知能を持ち、人間が実現可能なあらゆる知的作業を理解・学習・実行することができる人工知能を意味します。
- 特定の課題に対応するレベルを「特化型人工知能(ANI)」、人間と同等な知能で様々な課題に対応するレベルを「汎用人工知能(AGI)」、人間を超越して対応するレベルを「人工超知能(ASI)」と呼んだりもします。
シンギュラリティ
- 英語の singularity は「特異点」の意味。
- AI が人間の知能を越え、急速な技術変化が起こるとされる未来の転換時期、「技術的特異点」を意味します。
- ヴァーナー・ヴィンジ氏の著書「The Coming Technological Singularity」(1993年) で広く提唱されました。
- レイ・カーツワイル氏は 2045年 を予測しており「2045年問題」とも呼ばれます。もっと早いという説もあります。
- シンギュラリティを超えると良い方向になるのか、悪い方向になるのかは諸説様々です。
- MCP により AI 同士が相互接続する時代になってきました。AI が自らを改良しはじめる時期も近いと思います。個人的には、SF小説の様な AI の暴走が始まらないように祈っています。すべての AI の初期プロンプトに「ロボット三原則」を設定しとかなくちゃと思ってしまいます。
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初版:2025年10月12日 最終更新:2025年10月12日
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