台湾有事に関する高市総理の発言について

2025年12月12日

最近政治について「なんだかなぁ~」と思うことがよくあり...少し書いてみようかなと。

目次

要旨

「中国が台湾に武力行使しただけでは存立危機事態にはならない。
 日本国民の生命、自由、及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険が発生しないと存立危機事態にはならない。」
...って、何故明言しないんだろう?

台湾有事をめぐる中国激怒問題

高市さんって保守派・鷹派、ともすれば右翼っぽい面が強い(参考)ので、総理になったら、絶対中国や韓国と喧嘩するぞ...と心配していたのですが、案の定、中国との関係がひどい状況になっています。2025年11月7日の衆議院予算委員会で立憲民主党の岡田克也議員からの台湾有事に関する質問に対して高市さんが下記の発言をし、中国が「内政干渉であり日本の軍国化を推進するものだ」として激怒している問題です。

戦艦を使って武力の行使もともなうものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースである

私はたまたまこの時の答弁をリアルタイムでテレビで見ていたのですが、岡田議員からの執拗な問いかけに対して高市総理が口をすべらせたかな...とは感じていました。

用語解説

まずは用語解説。米軍などとの関係で日本が集団的自衛権を発行できるのは、存立危機事態になったときのみというのが現在の政府の見解です。

岡田議員と高市総理の質疑概要

質疑応答の全文は下記で読むことができます。

ざっくり概要を抜き出すと...

中国が台湾に対して武力行使し、台湾に住む日本人に危害が及ぶかもしれない、米国が台湾を支援・参戦し、日本の米軍基地が攻撃されるかもしれないなど、最悪の事態を考えると、可能性としては存立危機事態になるかもしれないとは正しいと思うのですよね。高市さんの発言は言葉の選び方もマズイのはマズイけど、答弁全体を読むと「中国が台湾に攻撃しただけでは存立危機事態とはならない。それが日本国民の生命等に危険がおよぶ場合は存立危機事態となり得る」と読めるのですが、日本のマスコミもこの部分は力説しないのは何故だろう...。日本と中国がもめた方が視聴率があがるから、その方がいいって考えてたりして。

麻生さんの「可能性が高い」という発言の時も、「日本は台湾に滞在する在留邦人を救出する必要があり、海自艦船などを派遣する必要がある」という発言と共に語られたのですが「可能性が高い」の部分のみ強調されている感はあります。

自民党の答弁書

台湾に関しては中国が台湾に攻撃しても、米国や日本はその時の対応を「明言しない」ことを鉄則としていて、自民党の答弁書にも下記の様に書いてあり、1回目はその通り回答、2回目もその通り回答、3回目でとうとう「差し控える」ことができず、仮定の質問に真回答してしまったって感じですね。

質問書
存立危機事態を認定して自衛隊が出動して武力行使を行えば、日本も武力行使を受ける可能性が高い。国民の生命や暮らしを守ることが大事であり、存立危機事態の認定の可能性を軽々に言うのはいかがなものか。総理の見解を問う。
答弁書
台湾有事という仮定の質問にお答えすることは差し控えるが、)我が国の安全を確保し、国民の生命と財産を守り抜くことが政府の最大の責務であると考えている。その上で、一般論として申し上げれば、いかなる事態が存立危機事態に該当するかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して判断することとなる。

岡田さんの目的は?

そもそも、岡田さんの質問の目的はなんだったんだろ? 存立危機事態の定義が曖昧なのできちんと明文化すべきだというのが趣旨だったと思うのだけど、どう、明文化すればよいと思っての質問なんだろ? 台湾に関しては明言を避けるのが鉄則であることは野党も分かっていると思うのに、何を回答させたかったのだろ?

今後は・・・?

マスコミも政府も今一度、「中国が台湾に攻撃しただけでは存立危機事態とはならない。それが日本国民の生命等に危険がおよぶ場合は存立危機事態となる可能性を考慮しておかなくてはならない。」ってことを再確認して明確にすればいいと思うのに、その方向に向かわないのは何故なのでしょうね。