とほほの確定申告入門

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確定申告における所得税の計算は年々変わります。ここに記載しているのは執筆時(令和5年(2023年)分)の計算方法の例です。こんな感じで計算するんだという雰囲気のみ参照し、実際の計算は国税庁のサイトを利用するか、免許を持った税理士さんに相談してください。
旧版:「とほほの所得税入門

目次

確定申告とは

所得税の計算(概要)

下記で計算します。

所得収入必要経費
課税対象所得所得控除
所得税額課税対象 × 税率税額控除
納税額所得税額復興特別所得税

確定申告では下記のような書式で計算・申請します。

給与所得者の場合の例

例えば、サラリーマンAさんの源泉徴収票に下記の様に記載があったとします。

支払金額6,500,000円...(1)
給与所得控除後の金額4,760,000円...(3)
所得控除の額の合計額3,000,000円...(4)
源泉徴収税額89,848円...(10)

これは、下記の様に計算されています。

収入(支払金額)6,500,000円...(1)
必要経費(給与所得控除)1,740,000円...(2)=(1)×20%+440,000円
所得(給与所得控除後の金額)4,760,000円...(3)=(1)-(2)
所得控除(所得控除の額の合計額)3,000,000円...(4)
課税対象1,760,000円...(5)=(3)ー(4)
税率5%...(6)
税額控除0円...(7)
所得税額88,000円...(8)=(5)×(6)-(7)
復興特別所得税1,848円...(9)=(8)×2.1%
納税額(源泉徴収税額)89,848円...(10)=(8)+(9)
収入と所得の違い

「収入が103万円越えたら」とか「所得が48万円越えたら」とか言いますが、収入と所得は異なります。上記の通り 収入 から 必要経費 を差し引いたのが 所得 であって、給与所得者の場合は、給与収入から給与所得控除分を差し引いた額が給与所得となります。

控除とは?

私が入社したばかりの頃、生命保険のおばちゃんに「年額10万円以上のに入ると5万円は税金で控除されるから」と説明され、無知な私は「税金が5万円安くなる」と思いその生命保険に加入しました。ところが、後で調べてみると生命保険の「控除」というのは「税金を5万円差し引く」のではなく「課税対象額を5万円差し引く」という意味なんですね。新入社員の頃は10%課税が大半でしたから「5万円の控除」というのは「課税対象が5万円安くなる×10%=税金が5,000円安くなる」ということでした。

所得税の計算で 控除 は下記などの意味で使用されます。

所得税の計算(詳細)

収入

給与・賞与や、商売の売り上げなど、得た金額全てです。給与所得、退職所得、事業所得、不動産所得、山林所得、配当所得、利子所得、雑所得、一時所得、譲渡所得の10種類に分類されます。下記にその説明があります。

必要経費

収入を得るために必要とする経費で、収入の種類によって必要経費として扱われるものが変わります。例えば商売の場合は仕入値や人件費等、給与所得者の場合はスーツやカバンの購入などで何らかの経費が必要だろうということで給与所得控除などが必要経費として計上できます。

所得

下記で計算されます。

所得 = 収入必要経費
所得控除

下記などを所得控除として計上できます。

課税対象

下記で計算されます。

課税対象 = 所得所得控除
税率

課税対象 に応じて下記で計算されます。

税額控除

税率で求めた金額から、下記などを差し引くことができます。

所得税額

下記で計算されます。

所得税額 = 課税対象 × 税率税額控除
復興特別所得税

2011年12月の東日本大震災からの復興のため、2013年から2037年までの間は 復興特別所得税 が所得税に加算されます。

復興特別所得税 = 所得税額 × 2.1%
納税額

下記で計算されます。

納税額 = 所得税額復興特別所得税

給与所得者の例の詳細

令和5年の算出に基づいて、年収650万円、妻と子供2人(大学生、高校生)のAさんが、副収入が25万円あるものの、医療費が50万円ほどかかってしまったAさんが、確定申告した場合で計算してみます。

収入・所得金額(円)備考
収入6,500,000源泉徴収票の支払金額
給与所得控除1,740,000①が330~660万の場合:①×20%+44万円。給与所得者の必要経費
給与所得控除後の金額4,760,000①-②
その他の所得250,000雑所得(副収入)など
所得5,010,000③+④
所得控除金額(円)備考
基礎控除480,00048万円固定
配偶者控除380,000配偶者の所得が48万以下の場合
配偶者特別控除0配偶者の所得が48万を超える場合
扶養控除(高校生)380,00016歳以上30歳未満の場合
扶養控除(大学生)630,00019歳以上23歳未満の場合
社会保険料控除960,000健康保険、厚生年金等
生命保険料控除120,000生命保険、介護保険、個人年金から計算
地震保険料控除50,000地震保険
医療費控除400,000医療費 - 戻ってくるお金 - 10万円
所得控除の額の合計額3,400,000上記の合計
所得税金額(円)備考
課税対象1,610,000⑤-⑥ (1,000円以下切り捨て)
所得税額81,000⑦が195万円未満の場合:⑦×5%
復興特別税1,701⑧×2.1%
納税額82,701⑧+⑨
源泉徴収額89,848源泉徴収票に記載
戻ってくるお金7,147⑪-⑩

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初版:1999年1月31日、最終更新:2024年3月3日
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