1xx万円の壁について
2025年12月14日
最近政治について「なんだかなぁ~」と思っていること第3弾。
要旨
「1xx万円の壁」とは
「~の壁」と言っても下記など色々あります。現在自民党と国民民主党が議論しているのは「所得税の壁」。しかし、「所得税の壁」に関してはこの限度額を超えても、超えた分の 5% を所得税として納めるだけで、「限度額を超えたら手取りが減る」っていう逆転現象は起きません。「限度額を超えたら手取りが減る」のは社会保険の壁のみで、限度額を1円でも超えてしまうと夫婦合わせた手取りが15万ぐらい減ります。
- 住民税の壁(100万):住民税の課税が徐々に始まる。
- 所得税の壁(103万→160万→?):所得税の課税が徐々に始まる。
- 社会保険の壁(106万/130万):大企業は106万。中小は130万。扶養からはずれて社会保険料(年金・健康保険)の支払いが発生する。
- 配偶者特別控除の壁(150万→160万):所得税の配偶者特別控除が徐々に減り始める。
- 配偶者特別控除の壁(201万):所得税の配偶者特別控除が0円となる。
テレビで「~の壁」の話題の時に主婦が「超えると手取りが減るので仕事を増やせない」というインタビューを流していたりしますが、所得税の壁と社会保険料の壁を混同しているのか???と思ってしまいます。
「壁」というから誤解が生まれる訳で、下記の様に表現するのが正しいと思います。
- 住民税徴収開始ライン(100万):住民税の課税が徐々に始まる。
- 所得税徴収開始ライン(103万→160万→?):所得税の課税が徐々に始まる。
- 社会保険の壁(106万/130万):大企業は106万。中小は130万。扶養からはずれて社会保険料(年金・健康保険)の支払いが発生する。
- 配偶者特別控除減額開始ライン(150万→160万):所得税の配偶者特別控除が徐々に減り始める。
- 配偶者特別控除完全減額ライン(201万):所得税の配偶者特別控除が0円となる。
夫婦の手取りシミュレーション
夫の年収が400万、妻の年収が100万から1万円ずつ増えた時に、夫+妻の手取りがどのように推移するか試算してみました。
178万円の根拠とは?
国民民主とは 178万円の根拠を下記の様に述べています。
- 1955年に定められた所得税の壁は103万だが、最低賃金が1955年から現在までに 1.73倍 に増加している。
- 103万の壁も 1.73倍して 178万円にすべきだだというのが民主党の主張。
具体的には、給与所得控除の最低額(55万)+基礎控除の最低額(48万)=103万 だったのが、令和7年は 65万+58万=160万 まで引き上げられました。これをさらに 178万円まで上げろというのが国民民主党の要望です。
理屈は賛同しないこともないのですが、178万円にすると年間約7.6兆円の税収源。ただでさえ赤字国債発行しまくりの状況でさらに借金を膨らませるのも厳しく、数年かけて徐々に 178万円に近づけていくのが現実解かなと思います。
問題なのは社会保険の壁
それより問題なのが社会保険の壁。1円でも超えると手取りが15万くらい減ってしまい、20万円くらい追加で働いてようやく手取りが元に戻ります。要因は健康保険と年金を自分で払う必要が一気に生じること。この部分を段階的に支払いが増えるようにすれば、逆転現象は解消され、「主婦の働き控え」問題も解決すると思うのですが、なんでできないんだろ?