とほほのRHEL 10入門
目次
RHEL 10とは
- Red Hat 社が提供する Red Hat Enterprise Linux の バージョン10 です。
- 2025年5月20日にリリースされました。
- 2030年5月31日まではフルサポート期間で、バグ修正、セキュリティ修正、機能強化が行われます。
- 2035年5月31日まではメンテナンスサポート期間で、重大なバグ修正、重大なセキュリティ修正が行われます。
- 2038年5月31日までは延長ライフフェーズで、修正は行われませんが限定的なテクニカルサポートを受けることができます。
- RHEL の無償版クローンOSとして AlmaLinux 10、Rocky Linux 10、Oracle Linux 10 などがあります。
- CentOS は RHEL互換であることを中止し、CentOS Stream という、Fedra と RHEL の中間的な位置づけのOSを公開しています。
リリースノート
変更点の詳細は下記を参照してください。
- Red Hat Enterprise Linux 10(↗) (Red Hat)
- RHEL 10 の導入における検討事項:RHEL 9 と RHEL 10 の主な相違点(↗) (Red Hat)
ソフトウェアバージョン
下記のモジュールなどがアップデートされています。
--- Kernel --- Kernel 5.14 → 6.12 --- Language --- Pythoon 3.9 → 3.12 Ruby 3.0 → 3.3 Node.js 16 → 22 Perl 5.32 → 5.40 PHP 8.0 → 8.3 Rust 1.84 → 1.84 Go 1.23 → 1.23 OpenJDK 21 → 21 GCC 11.5 → 14.2 glibc 2.34 → 2.39 --- Version Control System --- Git 2.* → 2.47 Subversion 1.14 → 1.14 --- Web Server --- Apache 2.4.* → 2.4.* Nginx 1.20 → 1.26 --- Database --- MariaDB 10.5 → 10.11 MySQL 8.0 → 8.4 PostgreSQL 13 → 16 --- Cache --- Memcached 1.6.9 → 1.6.23 Redis 6.2 → Valkey 8.0 Squid 5.5 → 6.10 Varnish 6.6 → 7.6 --- Security --- OpenSSL 3.2.2 → 3.2.2 OpenSSH 8.7p1 → 9.9p1
RHEL 9 から RHEL 10 の主な変更点
対応CPU
x86 の 32ビットアーキテクチャ CPU のサポートが終了し、Intel/AMD 系では x86-64-v3 以降の CPU が必須となりました。
ベースOS
ベースOS が Fedora 34 から Fedora 40 になりました。
ブート可能なコンテナイメージ
OS ブート可能なコンテナイメージを作成できるようになりました。OS を含むコンテナイメージを作成することができ、仮想サーバやベアメタルサーバにコンテナイメージを配布し、ブートすることができます。RHEL 9.6 でも利用可能です。
- Red Hat Enterprise Linux 用イメージモード(↗) (Red Hat)
- Bootable Container Image とは(↗) (SUPINF)
CLI から AI エージェントを利用可能に
「Red Hat Enterprise Linux Lightspeed」を用いて、コマンドラインから AI エージェントを利用することが可能となりました。
- Red Hat Enterprise Linux Lightspeed(↗) (Red Hat)
- RHEL10でRHEL LightSpeedを試してみた(↗) (Qiita)
耐量子暗号を用いた暗号
量子コンピュータでも破ることができないと言われている次世代の暗号技術、耐量子計算機暗号(PQC:Post-Quantum Cryptography)をサポートするライブラリやツール群が提供されました。今後は RSA や 楕円曲線暗号(ECC) を置き換えていくものになるだろうと言われています。
- Post-quantum cryptography in Red Hat Enterprise Linux 10(外部) (Red Hat)
- OpenSSL の耐量子計算機暗号アルゴリズム(↗) (Red Hat)
RHEL 7 コンテナのサポート終了
RHEL 10 上で RHEL 7 コンテナを実行することがサポート対象外となりました。
Radis から Valkey への移行
Redis がライセンスを BSD 3条項から制限のきつい SSPLv1/RSALv2 に変更したため、Redis を削除し、代わりに、ライセンス変更前の Redis バージョンからフォークした Valkey に変更しました。
ISC DHCP から Kea DHCP への移行
ISC DHCP が開発を停止してしまったため、代わりに、Kea DHCP に変更しました。
- RHEL10でも採用か?ISC DHCPに代わるDHCPサーバ〜Kea〜(↗) (DesigNET)
Copyright (C) 2025 杜甫々
初版:2025年6月8日 最終更新:2025年6月8日
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