Linuxの歴史
Linuxの歴史
UNIX の歴史です。超簡単に説明すると、
- 1969年、AT&Tのベル研究所が UNIX を開発。以後、Version 1~7、System III、SVR(System V Release) など SVR系 のUNIXをリリース。
- 1978年、カリフォルニア大学バークレー校が AT&T UNIX をベースとした BSD系 の UNIX をリリース。
- 1980年代、AT&T の SVR 系UNIXと、バークレー校の BSD 系 UNIX の競争と戦争が続く。
- 1980年代、オープンソースの UNIX 開発の機運も高まるが、すべてをオープンソースとして開発することに苦戦する。
- 1991年、大学生リーナス・トーバルズが SVR 系でも BSD 系でもない、オープンソースの Linux を独自開発。
- SVR系とBSD系が争っている間に Linux が広まる。BSD系も macOS/iOS/iPadOS などに一部残っている。
もう少し詳しい歴史が下記になります。
- 1964~1969年、米国AT&Tベル研究所を中心に Multics という OS を開発していたが、システムが巨大になりすぎ、計画が頓挫。
- 1969年、Multics の開発に携わっていたケン・トンプソンは、研究所でほとんど使用されていなかった PDP-7 に、Multics の簡易版 OS の原型を開発。Multics 上で開発して遊んでいた「スペース・トラベル」というゲームをやりたかったのが目的とも言われている。デニス・リッチーも加わり、ファイルシステム、プロセス、デバイス、アセンブラ、エディタ、シェルなどを開発。
- 1970年、ブライアン・カーニハンも加わり、マルチユーザが使える Multics に対してシングルユーザ用のという意味で Unics と呼ばれるようになり、その後 UNIX に変更される。
- 1971年、UNIX の開発資金援助を募ったが賛同が得られず、ワープロを開発するという名目で PDP-11 と資金援助を得る。文書清書システム roff を開発する傍ら、UNIX の開発を継続。fork() 機能開発。
- 1972年、デニス・リッチーが中心となり C言語 を開発。
- 1973年、ベル研究所が Version 4 Unix をリリース。C言語で書きなおされる。
- 1975年5月、ベル研究所が Version 6 Unix をリリース。AT&T の社外に UNIX が広まる。
- 1976年、ビル・ジョイらが UNIX 用ビジュアルエディタ vi を開発。
- 1976年、リチャード・ストールマンらが PDP-6 や PDP-11 の非UNIX OS 用ビジュアルエディタ Emacs を開発。
- 1978年2月、カーニハンとリッチーがC言語の教科書「プログラミング言語C」を発表。最初の例題として "hello, world" を表示。
- 1978年3月、カリフォルニア大学バークレー校のビル・ジョイ達が Version 6 をベースに BSD(Berkeley Software Distribution)をリリース。Pascal コンパイラとラインエディタ ex などを追加。
- 1978年、スタンフォード大学のドナルド・クヌース教授が TeX を開発。
- 1979年1月、ベル研究所が Version 7 Unix をリリース。UUCP や sh(Bourne Shell) を実装。
- 1979年5月、バークレー校が 2BSD をリリース。vi や Cシェルをサポート。
- 1979年6月、ベル研究所が Version 7 を VAX に移植した 32ビット版 UNIX/32V をリリース。
- 1980年11月、カリフォルニア大学バークレー校が 4BSD をリリース。
- 1981年、マイクロソフトが Version 7 をベースに 16ビットCPUで動作する XENIX をリリース。
- 1982年、AT&T が System III をリリース。
- 1983年、バークレー校が 4.2BSD をリリース。インターネットの基本プロトコル TCP/IP をはじめて実装。
- 1983年、AT&T が UNIX SVR1(System V Release 1) をリリース。
- 1983年9月27日、リチャード・ストールマンがフリーソフト団体 GNU Project を設立。
- 1984年4月、SVR2(System V Release 2) をリリース。
- 1984年、サン・マイクロシステムズが 4.1BSD をベースとした SunOS 1.0 をリリース。開発メンバにはビル・ジョイも参加。
- 1984年、HP が同社のワークステーションやサーバ用 OS として System III ベースの HP-UX をリリース。
- 1984年、DEC が同社のミニコン用 OS として Ultrix をリリース。
- 1984年、欧州の UNIX 関連製造業者を中心に X/Open コンソーシアムを設立。
- 1985年3月20日、リチャード・ストールマンらがエディタ GNU Emacs をリリース。
- 1986年6月、バークレー校が 4.3BSD をリリース。
- 1986年、SVR3(System V Release 3) をリリース。BSD系と SVR系の独自の進化が進む。
- 1986年、IBM は SVR3 をベースとした AIX をリリース。
- 1986年9月、NEC は同社のワークステーション EWS4800 用に、SVR2 をベースとした EWS-UX/V をリリース。
- 1985年、カーネギーメロン大学のリチャード・ラシッド教授がマイクロカーネル化した 4.3BSD 互換の Mach をリリース。
- 1987年3月22日、GNU Project が Cコンパイラ gcc をリリース。
- 1987年、Sony は同社のワークステーション NEWS 用に、4.2BSD をベースとした NEWS-OS をリリース。
- 1987年、オランダの大学教授アンドリュー・タネンバウムが、養育用 UNIX として Version 7 をベースに MINIX を公開。
- 1988年、SVR系とBSD系の仕様を統一しようと、POSIX(Portable Operating System Interface)という統一仕様を公開。
- 1988年、AT&T と Sun を中心に SVR 系振興団体 UI(Unix International) を設立。
- 1988年、DEC, IBM, HP などが BSD 系振興団体 OSF(Open Software Foundation) を設立。BSD系と SVR系の対立が激化。
- 1988年6月15日、バークレーが 4.3BSD の移植性を高めた 4.3BSD tahoe をリリース。
- 1989年、ベル研究所から UNIX 関連部門が独立して USL(UNIX Systems Laboratories)を設立。
- 1989年、USLとサンの共同開発で SVR4(System V Release 4.0) をリリース。SVR3、SunOS、4.3BSD、XENIX などの技術を統合。
- 1989年9月18日、スティーブ・ジョブズの NeXT社が、Mach と BSD を取り入れた NeXTSTEP をリリース。
- 1990年6月、バークレー校が 4.3BSD-Reno をリリース。
- 1991年、ベル研究所が、AT&T のライセンスを含まない UNIX として 4.3BSD Net/2 をリリース。
- 1991年、ウィリアム・ジョリッツが、4.3BSD Net/2 をベースとした 386BSD を発表。
- 1991年、リーナス・トーバルズが、Linux をリリース。
- 1992年、サンが、BSD ベースだった SunOS の後継として、SVR4 ベースの Solaris をリリース。
- 1992-1993年、Novell が AT&T から USL を買収。SVR4 ベースの UnixWare をリリース。
- 1992年、USL が BSD に対して知的財産の侵害として 4.3BSD Net/2 の公開停止を求めて提訴。1993年に示談。
- 1993年4月20日、The NetBSD Foundation が 386BSD ベースの NetBSD をリリース。
- 1993年6月13日、The FreeBSD Project が 386BSD を強化した FreeBSD をリリース。
- 1993年8月16日、Debian Project が Linux ディストリビューション Debian をリリース。
- 1993年、バークレー校が 4.4BSD をリリース。
- 1993年頃、A.I.SOFT が PC-9801 用 UNIX として PANIX をリリース。
- 1994年9月、NeXT が NeXTSTEP を改良した OPENSTEP をリリース。
- 1994年、バークレー校が 4.4BSD Net/2 から AT&T 依存コードを完全に除去した 4.4BSD-Lite をリリース。
- 1994年、OSF が UI を合併吸収。
- 1995年、OpenBSD Project が NetBSD をベースに OpenBSD をリリース。
- 1995年、SCO(The Santa Cruz Operation, Inc.)が、Novell から UNIX と UnixWare の権利を(一部?)買収。
- 1996年、OSF と X/Open が合併し The Open Group を設立。UNIX戦争の終焉。
- 2000年11月15日、Apple が、OPENSTEP の流れをくむ Darwin をリリース。
- 2001年、SCO が UNIX 関連資産を Caldera Systems 社に売薬。
- 2002年、Caldera Systems 社が The SCO Group に社名変更。
- 2001年3月24日、Apple が Mac 用 OS として Darwin をベースに Mac OS X をリリース(後に OS X、macOS に名称変更)。
- 2002年3月23日、Red Hat社が Linux ディストリビューション RHEL(Red Hat Enterprise Linux)をリリース。
- 2003年3月、SCO が IBM を UNIX の著作権違反で提訴。
- 2003年8月、SCO が Linux 関連企業に対しても UNIX の著作権料を支払うべきと通告。
- 2003年11月5日、Fedora Project が Red Hat Linux から派生した Fedora Core 1 をリリース。以後、Fedora が先行機能を取り込み、これを RHEL が安定版としてりリースする流れとなる。
- 2004年1月、SCO が Novell を UNIX の著作権違反で提訴。
- 2004年5月14日、The CentOS Project が RHEL を無償化した CentOS をリリース。
- 2004年7月12日、マシュー・ディロンが FreeBSD をベースに DragonFly BSD をリリース。
- 2004年10月20日、Ubuntu Project が Debian をベースとしたディストリビューション Ubuntu をリリース。
- 2007年6月29日、Apple がスマートフォン用 OS として macOS をベースに iOS をリリース。
- 2007年9月14日、SCO が倒産。UNIX 関連事業は UnXis(現Xinuos)社に売却。
- 2008年9月23日、Google が Linux ベースのスマートフォン用OS Android をリリース。
- 2010年6月11日、SCO の訴えが却下され、UNIX の権利は今でも Novell が有しているとの判決。
- 2011年6月15日、Google が、Linux ベースのパソコン用OS ChromeOS をリリース。
- 2020年12月8日、CentOS が RHEL の無償版ではなく RHEL に先行して機能を取り込む位置づけに変更となることを発表。
- 2021年3月30日、CloudLinux社が CentOS の後継として AlmaLinux をリリース。
- 2021年4月30日、Rocky Enterprise Software Foundation が CentOS の後継として Rocky Linux をリリース。
- 2022年11月、Oracle 社が RHEL 互換のオープンソース版 Oracle Linux をリリース。
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初版:2025年7月13日 最終更新:2025年7月13日
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