とほほの会津本郷焼入門
目次
会津本郷焼(あいづほんごうやき)とは
- 福島県大沼郡会津本郷町(現:会津美里町)で焼かれる陶磁器です。
会津本郷焼の歴史
- 豊臣秀吉時代の1593年、会津藩主蒲生氏郷が若松城(現:鶴ヶ城)改修のため播磨から瓦工を呼んで瓦を焼かせたのが始まり。
- 江戸前期の1645年、会津藩主保科正之の求めにより尾張国瀬戸から陶工・水野源左衛門が招かれ、本格的に陶器作りを開始。
- 江戸後期の1800年、藩命で有田に潜入して技術を学んだ佐藤伊兵衛が本郷村の大久保陶石を使って磁器づくりにも成功。
- 水野左衛門は「陶祖」、佐藤伊兵衛は「磁祖」として「陶祖廟」に祀られています。
- 1993年、経済産業大臣指定伝統的工芸品として認定。
- 明治の最盛期には100を超える窯元がありましたが、現在では12の窯があります(力窯は閉業)。
会津本郷焼の特徴
- 陶器もあり、磁器もあり、窯に寄って多種多様、様々な陶磁器が焼かれています。
- 花瓶のほか土瓶、皿などの食器、急須、マグカップ、箸置き、香合など様々な製品がつくられています。
- 毎年8月の第1日曜日には「会津本郷せと市」が開かれています。
- 毎年9月16日には「陶祖祭」が行われます。
会津本郷焼訪問
2025年4月に会津本郷焼産地を訪問してみました。
会津本郷陶磁器会館
窯元の中心部にあり、各窯元の作品が展示されています。窯元マップを入手できました。この会館の駐車場に車を停めて、トランクに積んでいた折り畳み自転車で回りました。徒歩でもまわることはできる範囲です。一番大きな店舗は「流紋焼」でした。


陶祖廟(とうそびょう)
本郷焼の開祖、陶祖(水野源左衛門)、磁祖(佐藤伊兵衛)、その他会津本郷焼に尽力された方々が祀られています。

宗像窯(むなかたがま)
1719年創業。八代利浩氏、九代利訓氏らが高級感のあるものを焼かれています。


酔月窯(すいげつがま)
1870年創業。初代三九郎、二代善八、三代善喜、四代善彦、五代理人と伝統を受け継ぎながらも、普段使いのシンプルで遊び心も取り入れたかわいい感じの食器類が多くありました。


草春窯(そうしゅんがま)・工房爽(こうぼうそう)
1979年創業。白磁が中心。兄 田崎宏さんが「工房爽」を、妹 田崎裕子さんが「草春窯」を担当されています。購入したのは「旅する酒杯 1泊2日」という白磁。1泊2日の旅に持ち運ぶのに丁度良い大きさを表しているとのこと。





陶雅陶楽(とうがとうらく)
戊辰戦争(1868-1869年)後に創業。こちらは昭和28年に白磁から陶器に転換されたとのこと。渋い色合いの食器群。残念ながら今日は閉まってました。

樹ノ音工房(きのおとこうぼう)
2001年創業。夫婦で営んでおられます。シンプルでモダンな皿や、様々な色合いのかわいい感じの食器類がありました。店内は撮影禁止とのこと。

鳳山窯(ほうざんがま)
明治20年(1887年)創業。薄く灰色づいた食器に繊細な絵柄が描かれたものがメインっぽい。残念ながら窯は閉まってました。


かやの窯(かやのかま)
様々な色を使いながらも渋みのある素朴な焼き物っぽいです。残念ながら窯は閉まってました。

富三窯(とみぞうがま)
明治5年(1872年)創業。初代富三を祖として現在は五代富三さんが継いでおられます。ツバキの富三と呼ばれる鮮やかな色彩のカップなどがあるようです。残念ながら窯は閉まっていました。

閑山窯(かんざんがま)
説明書きには享保年間(1716~1736年)、協同組合のサイトには宝暦年間(1751~1764年)創業とあります。青磁、白磁、炭化など様々な焼き物があります。落ち着いた色合いが好みです。一番手になじみそうな、一番日本酒が美味しくなりそうなぐい吞みをひとつ購入しました。





流紋焼(りゅうもんやき)
明治33年(1900年)創業。会津本郷焼の中で一番品ぞろえが多く、価格帯もリーズナブルなものが多くありました。木箱に入らない程度の安価なぐい吞みをひとつ購入。







陶房彩里(とうぼういろり)
2007年創業。夫婦で営まれています。シックな青蛍手の皿や、ワンポイントや動物等の絵柄のついた可愛いカップなどを販売。Googleマップで閉業と表示されることがあるそうですがしっかり営業継続中とのこと。




宗像眞弓(むなかたまゆみ)
宗像窯七代目の長女さんが2011年に独立。宗像焼とは異なる白磁を中心としたモダンな焼き物が多いようです。