とほほの陶磁器入門

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目次

はじめに

愛車ビートルに乗って、陶磁器(焼物)の産地を巡ったりするのが趣味だったりします。焼物の産地を巡って、気に入った猪口(ちょこ)をひとつ買って帰るってのを始めてました。ここ最近はコロナ禍で回れていませんが・・・。今日は、日本各地の焼き物産地について紹介します。

地図

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白地図: http://www.craftmap.box-i.net/

陶器と磁器

陶器と磁器を合わせて陶磁器と呼びます。陶器は、陶土と呼ばれる色つきの土を使用し、低めの温度で焼きます。表面はざらりとしており、吸水性があります。土独特の特徴が残っており「土もの」とも呼ばれます。叩くと「ゴン」という音がします。磁器は、磁土と呼ばれる白い石紛を使用し、高めの温度で焼きます。表面はガラス化してつるんとしており、吸水性は低いです。石から作るので「石もの」とも呼ばれます。叩くと「カン」という音がします。

日本各地の陶磁器

小久慈焼(こくじやき)

岩手県久慈市の陶器。白を基調とした淡い色のものが多く、茶碗やティーカップなど普段使いに適しています。 [画像]

堤焼(つつみやき)

宮城県仙台市の陶器。黒と白の釉薬を同時にかけ流すことによる、黒と白の自然なコントラストが特徴の「なまこ釉」が有名です。 [画像]

益子焼(ましこやき)

栃木県芳賀郡益子町周辺の陶器。薄く色づいた白、淡い青、淡い土色など様々な色やデザインのものがあり、日用に適しています。 [画像]

瀬戸焼(せとやき)

愛知県瀬戸市周辺の陶磁器。日本三大陶磁器日本六古窯 のひとつ。日本の陶磁器の代表格で、陶磁器のことを「瀬戸物」とも呼ぶくらい、日本の陶磁器の代表格でもあります。古いものから新しいデザインのものまで、ありとあらゆるジャンルの焼物がそろっています。美濃焼と近いこともあり、町を回ると流行りの織部焼などが売られていたりもします。 [画像]

瀬戸焼 瀬戸焼

美濃焼(みのやき)

岐阜県土岐(とき)市、多治見(たじみ)市、瑞浪(みずなみ)市、可児(かに)市に跨る陶磁器。日本三大陶磁器 のひとつ。「黄瀬戸」、「瀬戸黒」の他、国宝「卯花墻(うのはながき)」を生み出した「志野焼」、利休の弟子、古田織部(漫画「へうげもの」の主人公)が監修した独特なユーモラスさをもつ「織部焼」などに分類されます。 [画像(黄瀬戸)] [画像(瀬戸黒)] [画像(美濃焼)] [画像(志野焼)] [画像(織部焼)]

黄瀬戸 黄瀬戸
黒瀬戸 瀬戸黒
織部 織部焼
黒織部 黒織部

常滑焼(とこなめやき)

愛知県常滑市の陶磁器。日本六古窯 のひとつ。平安時代末期(1,100年頃)から続く古い産地です。釉薬を用いない「焼締(やきしめ)」と呼ばれる焼き方が特徴です。江戸時代に稲葉庄左衛門が始めた赤茶色の急須は現在も常滑焼の主力製品で、日本全国の家庭でもよく見かけると思います。知らない人でも画像を見ると「あぁ、これかぁ」と思うはず。 [画像]

常滑焼 常滑焼

萬古焼(ばんこやき)

三重県四日市市の陶磁器。土の色合いを生かした急須や土鍋が有名です。 [画像]

信楽焼(しがらきやき)

滋賀県甲賀市を中心とする陶器。日本六古窯 のひとつ。鎌倉時代に常滑焼の技術が伝わり、始められました。土を洗浄することなくそのまま用いて、土感をそのままに生かした力強いものが特徴です。以前は日本の火鉢のシェア80%を占めていました。今では狸の置物が有名ですので、これも、写真を見ると「これかぁ」と思うでしょう。 [画像]

信楽焼 信楽焼

伊賀焼(いがやき)

三重県伊賀市の陶器。信楽焼と少し似ています。厚めで土鍋などがよく利用されます。 [画像]

京焼(きょうやき)

京都の陶磁器。有田焼・伊万里焼のように赤色などを用いた繊細な文様のものも多いですが、少し繊細な色合いが特徴です。 [画像]

膳所焼(ぜぜやき)

滋賀県大津市の陶器。遠州七窯 のひとつ。京焼の色文様をもう少し淡くした風情のある感じで、茶器としても利用されます。 [画像]

赤膚焼(あかはだやき)

奈良県奈良市周辺の陶器。遠州七窯 のひとつ。赤膚の名前ですが、淡い肌色にチャーミングな模様のはいった、落ち着きの中にちょっと楽しみの入った陶器です。 [画像]

九谷焼(くたにやき)

石川県金沢市、小松市、加賀市、能美市周辺の磁器。「五彩手(ごさいで)」と呼ばれる、緑・黄・紫・藍・赤の五色を用いた色鮮やかなな文様が特徴。有田焼・伊万里焼にも似ています。検索画像を見ても分かるように、最近は、ガンダムやドラえもんなど、アニメのキャラクターを描いた皿などが流行りなのか、増えているようです。 [画像]

越前焼(えちぜんやき)

福井県丹生郡越前町の陶磁器。日本六古窯 のひとつ。土の風合いをそのままに活かした素朴なものが多く、花瓶などがよく扱われています。 [画像]

出石焼(いずしやき)

兵庫県豊岡市出石町の磁器。白磁と呼ばれる白い磁器に精密な浮彫・透かし彫りを施したものをよく見かけます。 [画像]

丹波焼(たんばやき)

兵庫県丹波篠山市の陶磁器。「丹波立杭焼」とも呼ばれます。日本六古窯 のひとつ。17世紀頃には、東日本側で瀬戸焼と二分するくらいのシェアがあったそうです。登り窯の中で松の灰が釉薬と化合して窯変して「灰被り」と呼ばれる文様をなすのが特徴ですが、土色の壺から現代的な色合いのティーカップなど、古風なものから現代的なものまで、様々な色やデザインのものがあります。 [画像]

丹波焼 丹波焼

明石焼(あかしやき)

兵庫県明石市を中心とする陶磁器。淡い色彩ながら、薄赤、薄青、薄緑、薄黄など様々な色のものがあります。江戸時代後期に最盛期となり、明治にも輸出が盛んでしたが、大正時代に入り衰退し、現存する窯は少ないそうです。 [画像]

瑞芝焼(ずいしやき)

和歌山県和歌山市の陶器。「鈴丸焼」、「滅法谷焼」とも呼ばれます。清涼感のある緑が美しいです。 [画像]

男山焼(おとこやまやき)

和歌山県有田郡広川町の陶器。白磁に繊細な青い模様が描かれています。 [画像]

備前焼(びぜんやき)

岡山県備前市の焼物です。日本六古窯 のひとつ。釉薬を用いない陶器の代表格です。赤みがかった土独特の味わい。焼きの際、藁をあてがって赤と白の焼きむらをつける「緋襷(ひだすき)」や、他の陶器を重ねて焼くことによりできる「牡丹餅(ぼたもち)」など、気まぐれにできる文様が人気です。私は酸素不足や塩を用いることで青い雰囲気のでる「青備前」が好きです。買いそびれてしまったので、もう一度買いに行きたい。 [画像]

備前焼 備前焼

虫明焼(むしあけやき)

岡山県瀬戸市邑久町虫明地区で生産される陶器。備前焼と非常に近い場所ですが、備前焼とは全く異なり、深い味わいのある緑の焼物が好きです。焼物会館とか専門店は無く、現在の第一人者黒井千左さんの自宅で、千左さんご自身やお弟子さんたちの作品の展示と販売が行われていました。今のところ一番のお気に入りです。 [画像]

虫明焼 虫明焼

布志名焼(ふじなやき)

島根県松江市の陶器。代表的な黄褐色のもののほか、様々な色合いのものがあります。 [画像]

姫谷焼(ひめたにやき)

広島県福山市でかつて栄えていた陶磁器。有田焼(伊万里焼)、九谷焼と並び、日本の三大磁器産地ともいわれた時期もありましたが、生産期間は 1660~1685年頃と短く、現在は幻の焼き物となっています。有田焼、九谷焼と同じく、白磁に赤を特徴とする絵柄のものですが、草花をシンブルに描いたものが多く、有田・九谷よりは若干素朴な雰囲気に感じます。 [画像]

宮島焼(みやじまやき)

広島県廿日市市の陶器。安芸の宮島の近くです。天明・寛政の頃に宮島の砂を「お砂守」として受け取り、それを土器として焼いた「お砂焼」が始まりと言われていて、「神砂焼」や「御砂焼」とも呼ばれます。淡いピンク色が綺麗で、素朴なつくりのものが多いです。宮島の紅葉の絵が描かれたものもよく見かけます。 [画像]

虫明焼 宮島焼1
虫明焼 宮島焼2

砥部焼(とべやき)

愛媛県伊予郡砥部町の焼物です。奈良・平安から続く歴史あるもので、砥部で採掘されていた「伊予砥(いよと)」という砥石を原料にしていました。白磁に呉須と呼ばれる青色の顔料を大胆に筆書きしたシンプルなデザインのものが多く、普段使いにも飽きのこないところが好きです。厚手で丈夫なところから投げても割れない「喧嘩器」と呼ばれたりもします。 [画像]

砥部焼 砥部焼

萩焼(はぎやき)

山口県萩市の焼物です。陶土と釉薬の具合によってできる「貫入」や、使い込むことにより変化する「七化け」がよいそうです。お茶をやっている人だと、三輪休雪(みわきゅうせつ)さんのお茶碗とか有名みたいですね。私は、ちょっと新しい萩焼の感じの小田光治さんが気に入り、徳利を購入してみました。 [画像]

萩焼 萩焼
萩焼 萩焼

小鹿田焼(おんたやき)

大分県日田市の陶器。鉋(かんな)や櫛(くし)などを用いて描かれた幾何学的模様が特徴です。 [画像]

小代焼(しょうだいやき)

熊本県荒尾市、熊本市などの陶器。「小岱焼」とも表記します。粗い粘土に上釉を流しかけた、素朴で力強い作品が多いです。 [画像]

唐津焼(からつやき)

佐賀県・長崎県北部の陶器。素朴な色柄と模様で親しみがあります。絵の施された「絵唐津」、黒と白のコントラストが美しい「朝鮮唐津」、藁灰を混ぜることで斑模様の浮かび出る「斑唐津」、朝鮮由来の幾何学的文様を描いた「三島唐津」、粉を引いたかのような「粉引唐津」など、いくつかの種類があります。 [画像]

波佐見焼(はさみやき)

長崎県東彼杵郡波佐見町の陶器。白磁をベースとしながら、現代的なデザインも多く、日用陶器として親しまれています。1990年代には、日本の生活雑記の 1/4 から 1/3 程度のシェアを占めていたこともあるそうです。 [画像]

有田焼・伊万里焼(ありたやき・いまりやき)

佐賀県有田町を中心とする磁器。日本三大陶磁器 のひとつ。有田町に隣接する伊万里市の伊万里港から出荷されることから「伊万里焼」とも呼ばれます。白磁に赤、緑、黄、青、黒で色鮮やかな絵柄を描いたものが特徴的ですが、白磁に青の模様のみといったシンプルなものもあるようです。 [画像]

薩摩焼(さつまやき)

鹿児島の陶磁器。「白薩摩(白もん)」と呼ばれる豪華絢爛な色絵錦手の陶器が多いですが、「黒薩摩(黒もん)」と呼ばれる大衆向けの雑器もあります。 [画像]

壺屋焼・やちむん(つぼややき・やちむん)

沖縄県の陶磁器。那覇市の国際通りに近い壺屋やちむん通りに壺屋焼の店が何軒も並んでいます。「焼き物」のことを沖縄の言葉で「やちむん」と読むことから、沖縄の陶磁器自体を「やちむん」と呼ぶことが多いようです。デザインはやはり、力強いものが多いですね。沖縄らしい鮮やかな色使いと文様がきれいです。 [画像]

やちむん1 やちむん1
やちむん2 やちむん2

その他

国宝

国宝に指定されている陶磁器は下記の14点だそうです。「卯花墻」と「曜変天目茶碗」は一度本物を見てみたい・・・。曜変天目は、何年か前に「なんでも鑑定団」で、「4個目の曜変天目が見つかったか!?」なんて、話題になっていましたね。

日本三大陶磁器

美濃焼」、「瀬戸焼」、「有田焼(伊万里焼)

日本六古窯

中世から現在まで生産が続く代表的な窯として「越前焼」、「瀬戸焼」、「常滑焼」、「信楽焼」、「丹波焼」、「備前焼」があげられています。1948年頃に古陶磁研究家の小山冨士夫氏さんが命名し、2017年春に日本遺産に認定されたそうです。六ヶ所の市町による六古窯日本遺産活用協議会が発足し、Webサイトが開かれています(参照)。

遠州七窯

江戸時代の茶人、小堀遠州が指導、または遠州の好みに応じた窯。「志都呂焼」、「膳所焼」、「朝日焼」、「赤膚焼」、「古曽部焼」、「上野焼」、「高取焼」の七つ。

広島酒祭り

灘や伏見に比べてそれほど有名ではないのですが、日本三大酒処は「灘(兵庫)」、「伏見(京都)」、「西条(広島)」と言われています。この西条で毎年10月に2日間に渡って20万人が参加する「酒祭り」が開催されます。ここで配られるお猪口が、手になじみが妙によく、実はお気に入りの一品だったりします。

西条酒祭り 西条酒祭り

Copyright (C) 2021 杜甫々
初版:2021年2月26日、最終更新:2021年2月28日
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